健康ブームのおかげもあり、程度の差はありますが多くの人がウェイトトレーニングをするようになってきました。
ウェイトトレーニングを行う目的は筋肉に刺激を与えることにあります。
筋肉にはより強い刺激を与えることが重要というのはトレーニングを普段しない人でもなんとなく理解いただけると思います。
では、筋肉が受ける刺激が2種類に分類できることは知っていますか?
実はこの2種類の刺激をしっかりと理解しておかないとトレーニングプログラムを組むときに効率の悪いプログラムを組んでいる場合があります。
もちろんパーソナルトレーナーにお願いしてプログラムを組めばそのような問題はなくなりますが、みんながみんなトレーナーに指導してもらっているわけではありませんね。
自分でプログラムを組む方も非常に多いと思います。
また、トレーニング中に辛くなってきたときになんとなくきついと感じるよりも"今はこういう刺激を受けてきついんだ"と理解しているだけで気持ちも折れづらいのではないでしょうか?
今回はそんな筋肉への異なる刺激について解説します。
筋肉が受ける刺激は2種類
トレーニングによって筋肉が受ける刺激は2種類に分けることができます。
物理的刺激と化学的刺激の2種類です。
物理的刺激
物理的刺激は文字通り筋繊維に物理的に強い負荷をかけたときの刺激を指します。
物理的刺激を主としたトレーニングでは、重いウェイトを使って少ない回数のトレーニングを行うことが多いです。
物理的刺激では強烈な刺激によって筋繊維が傷つくのでそれによって筋肉の成長因子が分泌されて筋肉が成長するきっかけとなります。
負荷の強さによっては1回の挙動で十分な物理的刺激を得ることもできます。
物理的刺激を与える際のインターバル
物理的刺激を筋肉に与えるときは大きい負荷をかけることが重要なのでトレーニングセット間のインターバルは長めに設定する必要があります。
短いインターバルだと物理的刺激と同時に受けた化学的刺激が十分に回復せず同じウェイトでもパフォーマンスが落ちてきてしまいます。
目安としては4-5分のインターバルが良いとされていますが、刺激する筋肉群が小さい(肩・腕など)場合は回復が早いので2-3分に短縮してもいいかもしれません。
化学的刺激
化学的刺激は筋肉内での環境を悪化させることで負荷をかけたときの刺激を指します。
軽いウェイトで多くの回数挙動したり、筋肉を収縮させっぱなしにしてると徐々に疲労して力が発揮できなくなりますよね?
筋肉をそのような状態にしていくのが化学的刺激です。
もう少し詳細に解説すると化学的刺激を受けているとき筋肉の中では活性酸素によるダメージ、酸素濃度の低下、ATPの減少、カルシウムやカリウムイオンの減少、pH低下、などが起きています。
化学的刺激では筋肉の環境が悪化するというストレスが強烈にかかるためこれをきっかけに成長ホルモンや男性ホルモン(テストステロン)が分泌されるといわれてます。
ホルモンの分泌を促すために高回数をこなすのではなく非常にゆっくりと動作を行うスロートレーニングという手法もあります。
化学的刺激を与える際のインターバル
化学的刺激の場合は筋肉内の環境を悪化させることが大事なので短いインターバルで次々と刺激を与えるようにしたいところです。
ただし、あまりに短い(~30秒)インターバルだと化学的刺激から筋肉がほとんど回復せずまともにセットをこなせなくなるため1-2分のインターバルで調整することが多いです。
刺激を与える際の注意点
筋肉への刺激2種類について理解が深まったところで刺激を与える際に注意したいことを解説します。
これはどちらの刺激についても言えることですが、筋肉への刺激は分散しないようにすることが重要です。
元々複数の筋肉を狙ったトレーニングをする場合は別ですが、筋肉への刺激は限定的であるほど効果的になります。
なぜなら受けた刺激によって筋肉はそのストレスに抗って成長しようとします。
複数の筋肉に刺激が分散すると刺激を受けたどの筋肉も低刺激となって十分に成長しない状態になってしまうからです。
どちらの刺激を優先するべきか?
それぞれの刺激を与えるには同じ種目でも全く異なる方法でトレーニングすることになります。
そうするとどちらの刺激を優先するべきか気になりますよね?
結論から言うとどちらも重要なので優先という概念は持たない方がよいです。
そのため、両方の刺激を与えるのが筋肉の発達には良いです。
両方の刺激を与える方法
両方の刺激を与える方法としては同時に行う方法と、トレーニングスパンをわける方法をご紹介いたします。
-同時に行う方法-
同時に刺激を与える場合は物理的刺激→化学的刺激の順になるようにトレーニングプログラムを組みます。
高強度・低回数のトレーニング(物理的刺激)を行ったあと低強度・高回数のトレーニング(化学的刺激)を行います。
この時、物理的刺激のときは動員する筋肉を多くして化学的刺激のとき動員する筋肉を限定すると物理的刺激で筋肉が疲労しきらず最後までトレーニングをこなせるかと思います。
-トレーニングスパンをわける方法-
トレーニングスパンを分ける場合は4週間を目安に物理的刺激と化学的刺激のトレーニングを交互に行う方法です。
スパンについては2週間程度が良いとする研究結果もありますが4週間から設定して調整していくと良いかと思います。
スパンをわける理由としては筋肉が刺激に対して慣れてしまうことを防ぐためです。
筋肉が同じような刺激に慣れるとだんだん刺激に対して反応しなくなり筋肉の発達が鈍ってしまうので注意したいところです。
それぞれの刺激に対する身体の応答の特徴
それぞれの刺激の原理が異なるようにそれに応答する筋肉の反応も異なります。
-物理的刺激-
物理的刺激では筋繊維の損傷に対する成長因子の分泌により筋肥大に特に有効です。
-化学的刺激-
化学的刺激では成長ホルモンなどのホルモンの分泌によりエネルギー消費(脂肪燃焼)などに有効です。
どちらの刺激でも筋肥大もエネルギー消費も効果がありますが、刺激を選択するあるいは両方の刺激をあたえることで効率的に筋肉を発達させることができるでしょう。
まとめ
今回はトレーニング時に起きる筋肉への刺激について解説しました。
簡単にそれぞれの刺激をまとめると、、、
物理的刺激:重いものを持つなど物理的に強い負荷をかけることで起きる刺激、インターバルをしっかりとって最後まで重たい重量を持てるように注意。筋繊維の傷つきにより筋肉の成長に効果的。
化学的刺激:軽い重量で多くの回数こなしたり収縮を維持させることで起きる刺激、インターバルは短めに筋肉内の環境を悪化させて刺激を増やしましょう。成長ホルモンの分泌により脂肪燃焼効果が高まる効果も。
異なる刺激を理解して、よりよいトレーニングプログラム作成に生かしてください!
もちろん私のようなパーソナルトレーナーにトレーニングプログラムの作成をお願いする場合でも自分自身が理解しているかどうかでトレーナーとのやりとりがしやすくなることは間違いありません。
是非今回の内容を生かしていただければと思います。
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