皆さんちゃんと準備運動してからエクササイズしてますか?
運動慣れしている人も慣れていない人も運動をする前に準備運動(ウォームアップ)をすると思います。
実際準備運動をするかしないかでパフォーマンスも変わりますし怪我のリスクも変わります。
しかし、準備運動について正しく行えている人は少なく、ストレッチなどを準備運動と誤解している人も多くいます。
運動の強度自体が低い場合は準備運動をストレッチなどで兼ねることもできますが運動のパフォーマンスを出したい、怪我予防につなげたいと考える場合は正しい準備運動について理解する必要があります。
そこで今回は正しい準備運動(ウォームアップ)とはどういう運動なのか解説していきたいと思います。
この記事を通して運動パフォーマンス向上、怪我の予防に役立つ準備運動(ウォームアップ)に関する知識を深めていきましょう!
【この記事で得られる情報】
・正しい準備運動の考え方について
・準備運動の種類について
準備運動(ウォームアップ)とは?
まず初めに理解していただきたいことは、冒頭でもお話した通りストレッチは準備運動(ウォームアップ)ではありません。
ストレッチとは柔軟性を鍛えるトレーニングの一種であり準備運動(ウォームアップ)→ストレッチという順番で行われるべきエクササイズの一種です。
本来の準備運動は運動を行う前に身体の準備をすることを指します。
繰り返しになりますがストレッチは柔軟性を高めるためのトレーニングの一種なので運動の一部です。
準備運動を正しく行うことで身体を"これから運動をする"という状態にすることで準備運動本来の目的を達成することができます。
逆に正しく準備運動ができていないと身体はその後の運動でビックリしてしまいパフォーマンスがでなかったり怪我に繋がったりします。
準備運動の効果
準備運動によって身体にはどんな変化があるのでしょうか?
準備運動により得られる変化はいくつもありますが、最も大きな身体の変化は深部体温が上昇して筋肉の弾性(伸びたら縮む力)を高めることです。
弾性が高まるとストレッチを行わなくてもそれだけで筋肉の柔軟性が準備運動前に比べて向上します。
筋肉の弾性が高まるのは深部体温上昇の結果、筋肉に流れる血流が増加するためなんですが、血流がしっかり流れている筋肉は急な負荷などで損傷しづらくなります。
筋肉の柔軟性が向上するということは、つまり怪我予防にも繋がります。
準備運動によって深部体温が上昇すると以下のような効果があると20年以上前の報告にまとめられています。*1
・筋肉への血流増加
・筋粘性の低下
・血液中(ヘモグロビンとミオグロビン)の酸素乖離の促進
・神経伝達速度の向上
・神経受容体の感受性の向上
・身体の代謝によるエネルギー消費率の低下
上記の内容を簡単に言うと筋肉が動きやすくなり怪我もしにくくなります。
また、身体の神経が運動するために活動的になります。
加えて運動で効率よくエネルギーを使うために余計なエネルギー消費(内臓の活動など)を抑えるようになります。
これらの変化が準備運動によって引き起こされるなら正しい準備運動をキチンとやらない理由がありませんよね?
準備運動を正しく行わず怪我をしたらちゃんと準備運動しておけば、、、と後悔することになるので確実に準備運動は行いたいところです。
ストレッチをやるタイミング
では準備運動と混同されがちなストレッチはどのタイミングでやるべきか?
ストレッチは身体が運動する準備が完了してから行うべきですなので準備体操を終えた後、本格的な運動に入る前に行うのがベストです。
冒頭で紹介したストレッチの解説記事に登場する静的ストレッチは深部体温を上げる効果はほとんどないため、準備体操としての効果は特に薄いことが分かっているのでやはり準備運動としてストレッチは適切ではありません。
準備運動(ウォームアップ)の種類
ここまでの解説で準備運動が重要なことは理解いただけたと思いますが、準備運動にはどのような種類があるのかを解説していきます。
大まかに3種類に分けられています。
一般的準備運動
1つ目は一般的準備運動です。
一般的準備運動に分類される運動は大きな筋群が動作する運動が当てはまります。
一般的準備運動によって冒頭で説明したような深部体温の上昇、筋肉の柔軟性向上といった身体が運動をするための準備を整えてくれる効果があります。
一般的準備運動に当てはまる運動の種類
・ジョギング(ウォーキング)
・サイクリング
・縄跳び
・ラジオ体操
一般的準備運動はラジオ体操が優秀
準備運動の種類について解説した中で一般的準備運動は私たちが準備運動と聞いて馴染みのある運動が多いと思います。
その中で特に優秀なのがラジオ体操です。
意外に思われるかもしれませんがラジオ体操は13種類の運動からなる全身運動です。
これをしっかりと行うことで全身約7割の骨格筋を稼働させることができるので準備運動としては十分です。
せっかく準備運動の正しい知識を理解するのであればラジオ体操をマスターしておきましょう。
専門的準備運動
2つ目は専門的準備運動です。
専門的準備運動に分類される運動は、目的の動作と同じ動きを軽い負荷で行う運動が当てはまります。
一般的準備運動と異なり、目的の運動で稼働する筋肉をピンポイントで温める運動となります。
目的の動作と同じ動きで準備運動することにより筋肉だけでなく精神的にも準備を整える効果もあり動作が複雑なものほど効果的に働きます。
専門的準備運動に当てはまる運動の例
・(ウェイトトレーニング前の)低負荷でのウェイトトレーニング
・(ダッシュやランニング前の)ジョギング
専門的準備運動で分かりやすい例がウェイトトレーニングです。
ウェイトトレーニングでは狙った部位のトレーニングをする際、始めにかなり軽い負荷で同じ動作を行います。
そこでフォームを確認しながら筋肉の深部温度をあげて筋肉がトレーニングの準備をするように意識させるというわけです。
ウェイトトレーニングと同様スポーツよって専門的準備運動を活用したウォームアップを行う場合は多々あります。
受動的準備運動
準備運動の種類3つ目は受動的準備運動です。
受動的準備運動とは身体を外部から直接温めるような方法を指します。
そのため、厳密には運動をせずに身体の温度を高くする方法です。
受動的準備運動のメリットとして準備運動で疲労することなく身体の深部温度を上げられるので介護やリハビリの場面で利用されることもあります。
ただし、スポーツの場面においては実践的でないものが多いので注意が必要です。
受動的準備運動に当てはまる運動
・温かいシャワーを浴びる/お風呂に入る
・ホットパック
・マッサージ
受動的準備運動のスポーツへの活用
ホットパックは全身を温めようとすると大変ですが普段の練習でダメージを抱えている部分をピンポイントで温めてから一般的準備運動に入ることでより入念に準備運動することができます。
バスケなどしていると膝や足首に古傷を抱えている方は多いと思いますが練習前にまずは温めてみるとより動きやすくなると思いますよ。
その場合はホットタオルや蒸気で温めるタイプの商品を使うとお手軽です。
準備運動を行う際の注意
全ての準備運動の種類に当てはまりますが、準備運動をする際は徐々に負荷を高くすることを原則にしましょう。
徐々に負荷が高くなるということは身体の深部温度や心拍数も段階的に上昇するということです。
急激な上昇は準備運動としてはふさわしくないので、目的の運動や自分の身体と相談しながら徐々に負荷を高めるようにしましょう。
場合によっては先ほどの受動的準備運動のスポーツへの活用のように受動的準備運動⇒一般的準備運動or専門的準備運動に移行するようにするのも良いでしょう。
正しい準備運動で楽しくエクササイズ
準備運動しましょうというと大抵の方がストレッチを始めてしまうことを受けて正しい準備体操についてアウトプットしなくては!と思い立ち今回の記事を作成しました。
この記事を通して正しい準備運動の知識と種類について理解していただければと思います。
ストレッチは準備運動ではないこと、準備運動によって身体の深部温度が上昇して筋肉が動きやすくなり怪我をしにくい状態になることを理解していればテキトーな準備運動はできなくなるはずです。
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*1:Poe, C.M. 1995. Principles of off-ice strength, power, and flexibility training for figure skaters. Skating