エントレ

普段はエンジニアとして働くNSCA-CPT持ちのパーソナルトレーナーが身体づくりと栄養について解説します。

ケトジェニックダイエットの原理と正しいやり方(糖質制限との違い)について解説

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昔からダイエットには流行り廃りがあって色々な手法のダイエットが出ては消えを繰り返しています。

たくさんダイエットに関する情報があふれるなかでどのダイエットを選択すればよいか迷ってしまいますよね。

そんなダイエットの中にも定番といえる昔からあるダイエット法もあります。

そのうちの1つが糖質制限ダイエットです。

 

糖質制限ダイエットは手法によってさらに細かく分類されるのですが、今回お話しするのはその内の1つであるケトジェニックダイエットについてです。

実はこのケトジェニックダイエットですが、巷で広がっている情報が他の糖質制限ダイエットとごちゃ混ぜになってしまっていて正しくない情報も飛び交っています。

正しいかどうかは実践した人や原理をきっちり勉強した人でないと気づけないので間違った情報でダイエットに挑戦して失敗した、、、という話も多く聞きます。

 

今回は、ケトジェニックダイエットを行う人のために正しい原理や注意点、他の糖質制限ダイエットとの違いを解説したいと思います。 

この記事を通して正しいケトジェニックダイエットの知識を習得してください!

ケトジェニックダイエットとは?

ケトジェニックダイエットとは糖質ではなくケトン体を主にエネルギー源として消費する状態にするダイエットの事を指します。

ケトン体は後述しますが脂肪酸を材料にするのでうまくコントロールすることで体脂肪をガンガン燃やしてくれるというわけです。

 

まずはケトジェニックダイエットで重要なケトン体について解説します。

小難しい解説になるのでケトジェニックダイエットのやり方の解説をまず読みたいという方は食事管理の仕方の項目までスキップしてください。

 

ケトン体とは?

ケトン体とはアセト酢酸、アセトン、3-ヒドロキシ酪酸の総称で、脂肪酸アミノ酸の不完全代謝物を指しています。

 

ケトン体はエネルギー生産の途中、肝臓で生産されるアセチルCoAという成分から作られます。

アセチルCoAは血中に混ざることが出来ず肝臓に一定量蓄えられますが、ケトン体は水溶性の物質で身体中の組織に運ぶことができます。

 

ケトン体はクエン酸回路と呼ばれる身体のシステムを使ってエネルギーとして利用されます。

普通に食事をしていてもケトン体の元となるアセチルCoAは作られていますが、クエン酸回路ですぐに消費されてしまうので身体に影響がでることはありません。

 

しかし、ケトジェニックダイエットを行うと大量のケトン体が作り出されるためアセチルCoAを生産している肝臓では蓄える限界量を超えます。

すると、血中のケトン体濃度が高くなっていき身体がケトン体をエネルギー源として使うようになります。

この状態がケトーシスと呼ばれる状態で、ケトジェニックダイエットで目指す状態でもあります。

 

ケトーシスにいかに早くなるかがケトジェニックダイエットでは成功のカギを握ることになります。

ケトーシスになる際のコツや注意点については別途詳しくまとめましたのでこちらをご参照ください。

 

あわせて読みたいケトーシスになる際のコツと注意点 

 

ケトーシスの状態にするには身体が糖エネルギーを使う状態からケトン体をエネルギーとして使う状態に代えていくことになります。

ここで身体がエネルギーを得るための3つの回路についてそれぞれの違いを解説します。

 

身体がエネルギーを得る回路は3つ

私達の身体を動かすとき筋肉が収縮することで関節を稼動させていきますが、そのエネルギー源はATPという成分を使います。

ATPは身体に取り入れた栄養から身体の中で作られる成分ですが、作成経路は主に3つに分けられます。

 

解糖系

1つ目は解糖系と呼ばれる経路です。

糖質から糖エネルギーを得る経路でご飯やパンなどの主食を食べてエネルギーを得ます。

普通の食生活を送っている人は解糖系の経路からエネルギーを作り出しています。

 

糖新生

2つ目は糖新生と呼ばれる経路です。

こちらも糖エネルギーを利用する経路ですが解糖系とは少し原理が違います。

 

どう違うかというと食事から摂取するエネルギーが不足すると身体は体内で糖エネルギーを合成しだします。

こうして糖エネルギーを得る身体の働きを糖新生といいます。

 

糖新生はあまり効率のよいエネルギー合成回路ではないのでこの経路でエネルギー源を供給する生活が続くと筋肉が一気に小さくなってしまいます。

詳しくは別記事で解説していますので気になる方は読んでみてください。

 

あわせて読みたい糖新生とは? 

 

β酸化系

3つ目は脂肪酸からエネルギーを得る経路です。

この回路がケトジェニックダイエットで利用したいエネルギーを得る回路です。

 

ケトジェニックダイエットではβ酸化系の経路をフル活用して脂肪をガンガン燃やしていくことになります。

この経路でエネルギーを合成するには糖新生が起きる状態(糖エネルギーが不足している)を作り出した上で十分な脂肪酸を供給する必要があります。

 

ケトジェニックダイエットは食べるダイエット

ケトジェニックダイエットには脂肪酸の摂取が重要なポイントになります。

そのため、食べるダイエットとも呼ばれています。

どれくらい食べるかについては後述しますが、人によっては普段の食事よりも食べる量が増える可能性もあります。

たんぱく質+脂質を十分にとって糖質の摂取を避ける、この点をよく理解しておいてください。

 

食事管理の仕方

ケトジェニックダイエットは食べるダイエットとお話しましたが、むしろ食べるのが中々大変なダイエットでもあります。

 

食事管理のポイント

ケトジェニックダイエットにおける食事管理のポイントは2つあります。

 

糖質を極力避けなければならない

1つ目は糖質を極力摂取しないことです。

ケトジェニックダイエットでは1日に摂取するエネルギーのうち、糖質の量を10%以下に制限します。

PFCバランスでいうと糖質10%以下、脂質60%、残り30%強をたんぱく質という比率になります。

PFCバランスについては別途詳しく解説しています。

 

あわせて読みたいPFCバランスとは? 

 

10%以下といわれても中々普段の食事に結び付けにくいと思うので、イメージしやすいように具体的な食事の量で説明します。

少し説明が長くなりますがお付き合いください。

 

1日に必要なカロリーが2,000kcalの方を例にすると、ケトジェニックダイエットでは糖質の割合は10%以下になるので200kcal÷4kcal/g=50g以下に糖質量を制限します。

これを白米に置き換えると白米1膳(150~160g)で約55gの糖質を含んでいるのでケトジェニックダイエットでは1日に1膳未満の白米しか摂取してはいけないことになります。

しかもこれは総摂取量なので他の料理や飲み物から摂取する糖質も考えると実質的には炭水化物は食べられないと考えた方がよいです。

 

普通の食生活なら60%程度を糖質からとるので1,200kcalを糖質から摂取します。

1,200kcal=300gの糖質を摂取することになるので毎食1膳の白米を食べても135g分の糖質を別の料理や飲み物で摂ることができます(というより必要です)。

 

そのため、ケトジェニックダイエットではいかに糖質を避けながら必要なカロリーと栄養素を摂るか考える必要があります。

 

脂質を十分に摂る必要がある

2つ目は脂質をたくさん摂ることです。

1つ目のポイントで糖質を基本的には食べない、と解説しましたが糖質で取っていた分のエネルギーを脂質で補給する形になります。

 

体重を減らしたい、と考える人にとって脂質というのは敵にしか見えないと思います。

なぜなら余計な体脂肪がついた原因のうち脂質の摂りすぎといわれて心当たりがある場合が多いからだと思います。

 

しかし、ケトジェニックダイエットにおいて脂質は味方です。

というより脂質がないとケトジェニックダイエットに成功はありません

 

ケトジェニックダイエットでは先ほど説明した脂肪を優先して燃やすエネルギー経路(β酸化系)で身体がエネルギーを得るようにしなければなりません。

そのためには糖質の摂取を十分に減らした上で大量の脂質を摂取することになります。

 

脂質が足りないと・・・

脂質が足りていないと身体の組織(特に筋肉)を分解してエネルギーを得る糖新生が活発化してしまいます。

糖新生でも体重はぐんぐん落ちていきますが、脂質が足りないため身体は筋肉や骨を優先して分解してエネルギーを得ます。

そのため、体型が崩れたり骨密度低下などの副作用が出てくる可能性があります。

 

具体的な管理方法

それでは具体的にどのように食事を管理していけばいいのか解説していきます。

ケトジェニックダイエットでの食事管理を考える前に自分の身体が毎日どれくらいのエネルギーを必要としているかを計算する必要があります。

 

これをメンテナンスカロリーといいますが、メンテナンスカロリーについては別途詳しく解説しているので記事の内容を参考に自分のメンテナンスカロリーを計算しておいてください。

 

あわせて読みたいメンテナンスカロリーとは? 

 

ケトジェニックダイエットにおけるPFCバランスは先ほど説明したとおり、糖質10%、脂質60%、たんぱく質30%がベースです。

メンテナンスカロリー2,000kcalの方を例に計算すると、

 

糖質:200kcal ÷ 4kcal/g = 50g

脂質:1,200kcal ÷ 9kcal/g = 約133g

たんぱく質:600kcal ÷ 4kcal/g = 150g

 

となります。

糖質については主食から炭水化物を完全に抜いて、他の食材や調味料に含まれている分から摂取することで大体10%を下回るようになります。

脂質については料理に使う油の量や食材に含まれる脂の量を計算し足りない分はココナッツオイルやアマニオイル、MCTオイルなどの中鎖脂肪酸多く含む油を飲んで補給します。

 

なぜ中鎖脂肪酸かは後述します。

たんぱく質については主食に糖質が食べられない分お肉などを食べる量を増やして補うことで達成できると思います。

ちなみに150gのたんぱく質は牛肉に置き換えると750g程度必要です。

 

なぜ中鎖脂肪酸なのか?

脂質の摂取に中鎖脂肪酸を摂るように書いたのは中鎖脂肪酸がエネルギーとして分解される効率が良いからです。

特に100%中鎖脂肪酸でできているMCTオイルはケトジェニックダイエットをするうえで是非使用したい油です。

 

MCTオイルはサラダ油のような長鎖脂肪酸と比べて10倍もケトン体を作り出しやすいことが分かっています。

アマニオイルやココナッツオイルも中鎖脂肪酸が多く含まれているのでMCTオイルが手に入らない、、、といった場合に選択肢として覚えておくと良いです。

 

1日の食事ではPFCの食事の他ビタミンやミネラルなども身体の調子を整えるのに必要です。

そのため1日の食事は総合的に考えないといけませんが、そのためには食べられる食材と食べられない食材をしっかり理解しておくことが重要です。

 

食べられる食材と食べられない食材を予めリスト化してケトジェニックダイエットに臨むと食材選びが非常に楽になります。

 

あわせて読みたいダイエットの際はポジティブリストを活用しよう 

 

ここに書かれている以外の食材でもケトジェニックダイエットに向いている食材は多くあります。

ここに出てきていない食材で普段食べている食材があれば糖質量を調べて使えるか判断すると良いですね。

 

食べられる食材

食材系

肉類全般

魚介類全般

大豆製品
葉野菜系

海藻類

きのこ類

 

加工品系

チーズ(できれば乳糖加工品)

ナッツ類(カシュー、ピーカン、アーモンドなど)

チョコレート(カカオ95%以上)

ツナ(油漬けは脂質もとれておすすめ)

 

調味料系
バター

植物油(MCTオイルやココナッツオイルなど中鎖脂肪酸を多く含む油)
マヨネーズ

こしょう

ハーブ類

 

酒系

蒸留酒ウォッカ、焼酎など)

 

食べられない食材

食材系

炭水化物(白米、麺類、粉物など)
根菜類

牛乳

果物

 

加工品系

お菓子全般
小麦粉を材料に含む加工食品全般
ヨーグルト(無糖の場合も乳糖を含むため)

ジュース全般(野菜・フルーツなど)

 

調味料系

糖質を含む調味料全般(砂糖、みりん、ケチャップ、ソース、ドレッシングなど)

酒系

醸造酒(ビール、ワイン、日本酒、梅酒、紹興酒など)

酎ハイやカクテルなど糖質が多い材料を混ぜた酒類全般

 

ケトジェニックダイエットは糖質を厳しく制限するので食べられない食材も非常に多いですが、食材の栄養を調べてみると食べられるもの実は多いのが特徴です。

 

ただ、食事メニューを考えてみるとわかりますが使える調味料が意外と少ないので味が単調になりがちなのがネックですね。

 

ケトジェニックダイエットの注意点

ケトジェニックダイエットを進めるうえで注意しておきたいポイントを解説します。

 

カロリー管理は必ず行う

ケトジェニックダイエットを解説するサイトなどで糖質さえ制限していればどれだけ食べてもOKのような解説をしている場合もありますが大きな間違いです。

必ずカロリー管理は行ってください。

 

カロリー収支がマイナスになっていないと体脂肪が減ることはありません。

 

あわせて読みたいダイエットをするとき必ず管理すること 

 

食事管理の項目で説明したメンテナンスカロリーを基にカロリーは管理してください。

痩せるためにはメンテナンスカロリーより少し少ない摂取カロリーになるように調整が必要です。

 

ビタミンEの摂取

ケトジェニックダイエット中は脂質を身体に大量に取り入れるので取り入れた脂肪酸の酸化が身体に悪影響を与える可能性があります。

そのため脂肪酸の酸化を抑える必要があるのですが、この場合ビタミンEの摂取が効果的です。

 

ビタミンEには過酸化脂質という身体に悪影響を与える酸化した物質を除去する効果があります。

他のビタミンももちろん重要ですがビタミンEは特に重視してください。

 

ビタミンEは脂溶性のビタミンなのでだいこんの葉やブロッコリーなどを油と一緒に炒めたりすると効率よく摂取できます。

食品からの摂取に頼ると摂取量が不足することが多いのでサプリメントの力も借りるのが良いでしょう。 

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長期間やらない

ケトジェニックダイエットでは通常使うことのない経路でエネルギーを消費しながら体脂肪を減らしていきます。

この経路でエネルギーを消費するようにしていると筋肉が分解されていく効果と表裏一体のため、筋肉が徐々に減っていく可能性が増してきます。

 

そうすると身体の基礎代謝や活動代謝が落ちてきてしまうのであまり健康的とは言えません。

そのため、ケトジェニックダイエットは短期間(1か月程度)に収めることがよいとされています。

最長でも2ヶ月以内にしておきましょう。

 

糖質制限ダイエットとの違い 

最後に他の糖質制限ダイエットとの違いを解説してまとめに移りたいと思います。

糖質制限ダイエットとの違いはエネルギー消費回路の違いと糖質の制限割合です。

 

エネルギー消費回路については、ケトジェニックダイエットは脂肪酸を基にしたケトン体を作る経路(β酸化系)でエネルギーを消費することが解説しました。

しかし、ケトジェニックダイエット以外の糖質制限ダイエットではケトン体を作り出すようなレベルで制限していないので糖新生系の経路でエネルギーを消費します。

 

また、ケトジェニックダイエットでは10%以下に糖質を制限しますが、他の糖質制限ダイエットでは30%程度のゆるい制限にとどめられているのがケトジェニックダイエットとの違いになります。

 

まとめ

今回は糖質制限ダイエットの1種、ケトジェニックダイエットについて解説をしました。

ポイントをまとめると、

 

脂肪酸からつくられるケトン体をエネルギーとして消費する状態(ケトーシス)にするダイエットである

・糖質量は1日に必要なカロリーの10%以下に抑える

・脂質を十分にとってケトン体を作り出しやすくする

・長期間はやらない

 

具体的な食事メニューやケトジェニックダイエット中のトレーニングプログラムの作成などは高度な内容となるので、是非私たちパーソナルトレーナーにご相談ください。

安全で健康なダイエットをサポートいたします!

 

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