エントレ

普段はエンジニアとして働くNSCA-CPT持ちのパーソナルトレーナーが身体づくりと栄養について解説します。

なぜ同じミスを繰り返すのか、認知心理学面から考える

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皆さん、筋トレしてますか?

早速ですがトレーニングやスポーツをしているとミスをすることってあると思います。

 

ミスの程度や種類はそれぞれ違うと思いますがスポーツに限らず色々な場面でミスをすると思います。

人はミスをするもの、とは言われていますがミスを繰り返すことは楽しいものではありません。

 

どうにかしてミスを減らしたい、誰でもそう考えると思います。

ではどのようにしてミスを減らせば良いでしょうか?

 

スポーツの場面でいえば全体の練習量を増やす?ミスした内容を反復して練習する?

そうした対処療法的な対応でもミスは減っていくと思います。

 

ただ、どれだけ練習を増やしてもミスが完全になくなることはありません。

"あれだけ練習したのにまたミスをした"という負の感覚はスポーツの場面ではパフォーマンス低下に繋がるよくない精神状態です。

 

ミスをしても気にするなとはスポーツ指導の場面ではよく聞きますが"まぁ、いいか次に切り替えよう"と考えられるマインドセットを持つには自分の中で何かしら根拠が必要になると思います。

そこで今回は人は何故ミスをするのか認知心理学の面から解説してミスを減らすこと+ミスをした時の精神的負担軽減の役に立てる内容をまとめたいと思います。 

ミスとは?

まず初めにそもそもミスとは何か?について説明していきたいと思います。

ミスは工学的(筆者は本業が工学系エンジニアです)に言いかえるとヒューマンエラーという言葉で表されます。

 

ヒューマンエラーとは定義的には規定されたパフォーマンスから外れることです。

スポーツの場面でいうとバスケのシュートは分かりやすい例かと思います。

 

バスケのシュートはボールがバスケットゴールを通過する(得点する)ことが規定されたパフォーマンスです。

つまりゴールをボールが通過しないことはミス(ヒューマンエラー)となります。

 

工学的には規定されたパフォーマンスから外れるか外れないかしか定義しないので入れるつもりで外しても故意に外しても同じものとして考えます。

しかし、今回の解説では認知心理学の側面からミスを考えます。

 

認知心理学では故意のヒューマンエラーは除外して定義されています。

そのため、この記事の中では故意のヒューマンエラーは除外して考えます。

 

ミスの原因

では、ミス(ヒューマンエラー)の原因とは何なのでしょうか?

故意に規定されたパフォーマンスから外れることを除外した場合、ミスの原因は同じ行動を取れないことです。

 

規定されたパフォーマンスから外れない行動を常に行うことができればミスは起きませんが人間は機械のように正確無比な行動を毎回行うことはできません。

繰り返し行動することで行動のふり幅ができてしまいどこかでミスになります。

 

これは人間である以上仕方のない事です。 

しかし、人間の行動処理の原理を理解することで行動のふり幅を制御してミスを減らすことは可能です。

 

人の判断処理の原理

私たちは普段行動するとき視覚などの五感から得られる情報から知識・経験に基づいて判断しています。

知識・経験は私たちの記憶がベースになっています、つまり脳から知識・経験を引き出します。

 

記憶から知識・経験を取り出す方法には2つのやり方があります。

その方法はそれぞれ自動処理と制御処理とよばれています。

 

自動処理

自動処理とは無意識のうちに行われる記憶の取り出し方法です。

自動処理で取り出される記憶は私たちが意識することなく行動に利用されます。

 

単純な例で言えば歩くときに足をあげる、手を振るといった動作も自動処理で記憶が引き出された結果です。

自動処理で判断することはあえて意識しない限り私たちは当たり前のように行っています。

 

自動処理で行われる行動は目の前の状況に対して決まった行動を返すので振れ幅の少ない行動になる特徴があります。

自動処理による判断は記憶の刷り込みと同じです。

 

そのため自動処理する場面ではないのに脳が誤って自動処理として判断することもあります。

そうした自動処理間違いの行動を思い込みといいます。

 

思い込みは普段の生活から形成されるため人によって様々な判断結果となります。

 

制御処理 

制御処理とは意識的に注意を向けて記憶を取り出す方法です。

制御処理で取り出される記憶は私たちがキチンと意識して判断し行動に利用します。

 

例えば2枚のカードを裏返しておいてどちらか好きな方をめくって表面に書いてある文字を読んでください、と指示されたとします。

指示しされて私たちは意識してカードを選び→めくって→書いてある文字を読むという行動をする判断をします。

 

制御処理の判断では意識して処理することになるので目の前の状況に対して意図した正しい処理を行える特徴があります。

制御処理では状況に対して意識的に判断するため、状況に対して他人と判断結果を共通化することができます。

 

ただし、自動処理の項目で解説したように私たちの脳には自動処理による思い込みの判断が無意識に行われることがあります。

これは制御処理による判断よりも素早く強力に私たちの脳に働きかけるため正しく制御処理すればミスにならなかった場面で思い込みによってミスになる、といったことがあります。

 

ミスを減らすには

自動処理と制御処理について理解したところでミス(ヒューマンエラー)はどうしたら減らせるか解説していきたいと思います。

人間の脳は自動処理と制御処理を使い分けることができるのでミスを減らすにはそれぞれの処理について対策が必要です。

 

自動処理のミスを減らすには

自動処理による行動判断のミスを減らすには自動処理によって起こる無意識の行動が状況に対して正しいものにする必要があります。

自動処理は記憶の刷り込み、思い込みの一種なので自動処理によって返ってくる行動がそもそも間違っていてはミスは減らせません。

 

そのため、自動処理によって起きる行動をその状況に適した行動になるように修正してミスにならないようにします。

ただし、自動処理の修正には同じ状況に対して繰り返し行動することが必要になります。

 

修正の最初は制御処理による判断になるかもしれませんが繰り返すことで徐々に自動処理として身体に染みついてミスの低減に繋がります。

 

制御処理のミスを減らすには

 

制御処理による行動判断のミスを減らすにはいくつかの方法がありますが有効な手段の1つとして制御処理による判断から自動処理による判断に落とし込むことが知られています。

制御処理による判断は焦りや緊張、普段とは違うシチュエーションといった様々な要因で簡単に止まってしまいます(所謂頭が真っ白状態)。

 

完全に頭が真っ白になると人は行動ができないか何かしらの自動処理による判断を行ってしまいます。

そうした場合の自動処理による判断ではその状況に適した判断でなくても無意識に行動してしまうことになりミスに繋がりやすくなります。

 

そうしたミスを低減するため今まで制御処理で判断していたことを反復して経験することで徐々に自動処理として判断できるようにします。

自動処理によって判断できる行動が増え、自動処理によって起きる行動が正しければミスをできる限り抑えることが可能になります。

 

ゼロにはできない

ここで注意していただきたいのはミスの低減にいくら注力してもミスはゼロにはならないということです。

例えばバスケのシュートでいえばどれだけシュートが上手い選手でも100%決めることはまずありません。

 

これはシュート時のちょっとしたボールの向きの違い、足の位置の違い、フォームのブレなどによってシュートを決めるという規定されたパフォーマンスを外れた行動になってしまうからです。

ただし、自動処理での判断になるほど繰り返していることで行動の振れ幅は小さくなっているので可能な限り確率を高めることはできます。

 

スポーツやトレーニングの場面ではミスは必ず起きるものですが人の行動原理を理解しておくことで予めミスが起きる心の準備はできると思います。

そうすることでミスをした時に気持ちをリカバリーする対応がしやすくなり次の行動が成功する確率をあげることにも繋がると思います。

 

まとめ

今回は人がミスする原因を認知心理学の面から解説してみました。

今回の内容は経験的に理解されてる方は多いと思いますが、改めてこうして文章で見てみることでミスに対する負の感情を低減するきかっけになれば幸いです。

 

ミスをすることよりもミスを引きずることの方がパフォーマンスを発揮する上ではよくないですからね。

ミスは起こるもの、ということを改めて理解して試合などで活かしていただければと思います。 

 

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